ものづくり調査レポート

日本に眠る技術や新進気鋭のクリエイターなど、
商品開発のヒントになる情報をTRINUS調査員が好奇心のままにレポートします。

羽や木を直接転写?エンボス加工技術「Delitte」がすごい
2020.09.08

羽や木を直接転写?エンボス加工技術「Delitte」がすごい

技術にDESIGNを、世界にWOWを届けることを目指し、さまざまな企業と協働して新しい商品を世に送り出してきたTRINUSが、このたびYouTubeチャンネルを開設!あっと驚くような技術を持つ企業や、斬新なアイデアを生み出しているクリエイターの方々を紹介していきます。

記念すべき第1段では、金型を使わずに、レース、羽、葉、木などの凹凸を、直接布やプラスチックなどに転写できる技術「Delitte(デリット)」を開発した神戸市のオーヨン株式会社を取材しました。同社とTRINUSは、 月の表面の凹凸を牛革に転写したファッション雑貨シリーズ「PLANETARIO」を一緒に開発しています。

工場の中は、なんと本邦初公開とのこと!内部は一体どんな様子で、Delitteはどんな技術なのでしょうか・・・?それでは早速中に入ってみましょう!

▼YouTubeはこちら

 

本邦初公開!社長こだわりの巨大なプレス機

オーヨン株式会社は、神戸市兵庫区の「神戸市ものづくり工場」の一角にあります。中に入ると、まず目に飛び込んでくるのは今回初めて公開するという大きなプレス機。最大約130センチ×200センチの大きさに対応しています。このサイズは、Delitteの開発者であり、同社代表取締役の呉本勇(くれもと・いさむ)さんがこだわったポイントのひとつだったそう。

Delitteのためにオーダーメイドでつくりました。タイヤとか重量物をプレスする機械を改良しているので、世界に1台しかありませんよ。やっぱり大きい方が表現の幅が広がるので、こだわって。以前勤めていた会社の退職金を注ぎ込みました(笑)」(呉本さん)

まさに人生を掛けて開発したDelitte。どんな技術なのかを知るべく、プレスの様子を実際に見せてもらいました。

 

“そのもの”をプレス!凹凸の繊細さを追究したDelitte

Delitteの魅力は、身の回りにあるものを、金型を使わずに、布や紙、プラスチック素材などにそのまま転写できるというところです。まず、鳥の羽の凹凸を革に転写してくれるとのこと。柔らかくて薄い鳥の羽を、革に転写するなんて本当にできるのか?と少し疑ってしまいます。そんな疑念はお構いなしに、呉本さんはプレス機にセットしてスイッチをオン。そして待つこと数十秒・・・。

ん・・・?羽が置いてあるのかな?と思ったあなた。騙されています!(笑)羽の凹凸が転写されているんです!毛の1本1本が見えるほど、繊細な仕上がり。実物と見間違えるほど、完璧に再現されています。

「実物そのものを使えるのが、Delitteのユニークなところです。従来であれば金型をつくらなければいけません。でも金型は制作にコストが掛かるし、つくったところでこの繊細さは出ないんです。Delitteは2ミクロン(0.002ミリ)の凹凸が表現できます。金型よりも温かくて、柔らかい感じになるんです」(呉本さん)

実物の羽と見分けがつかないほど、毛足の細かさが伝わってきますよね。羽だけでなく、葉っぱや木の板などもそのままプレスできるというから驚きです。枯れ葉に上から強い力をかけたら壊れてしまうのでは?とも思いますが・・・

「素材や型に合わせて圧力や熱、時間を調節しているので、型にダメージを与えることはありません。詳しいことは企業秘密ですが(笑)」

 

組み合わせは無限大!あらゆる型と素材で実験できる

呉本さんによると、Delitteのユニークなポイントとして、素材や型の組み合わせを変えれば、表現の幅が無限に広がることも挙げられるそう。一体どういうことなのか。同じレース生地を革、プラスチック素材、紙に転写してくれました。

同じレース生地が型になっているとは思えぬほど印象が違います。革だとワニ革のような高級感が感じられ、プラスチック素材だと幾何学模様のようなシャープな雰囲気。紙のような薄い素材でもレースの繊細な凹凸が精密に表現されていて、温かみを感じます。

「新しい柄みたいでしょ?型や素材を色いろ変えていけば、無限に組み合わせをつくれるのがDelitteの特徴なんです。やってみないと分からないのもおもしろくて、実験みたいで(笑)金型だと、ひとつつくるのに何十万、何百万ってコストが掛かるので、こんなことはできない。いろいろ試せるのがいいところです」(呉本さん)

YouTubeでは、これ以外にも木板の凹凸を転写しています。仕上がりは本物の木と見分けがつかないほどのクオリティ・・!ぜひこちらもご覧ください(5:40ごろ〜)

 

 

Delitteを活用したアイデアを募集中!「難しいほど燃えます」

呉本さんは以前、化学製品を製造する会社に勤めており、プレス機械を日常的に使っていました。当時、ある失敗をしたことがきっかけで、金型を使わないエンボス加工の着想を得たとか・・・(詳しくはYouTubeの6:19〜をご覧ください!)。 

それがきっかけとなり、約40年勤めた企業を定年退職後、一念発起してオーヨンを起業。以降Delitteの技術向上や普及に努めてきました。

「最初に着想を得たとき、自分よりも周りの人が"すごい"と評価してくれて。私自身も死ぬまで仕事がしたかったので、やってみようと思ったんです」

そこから約10年に渡る地道な技術開発と営業活動により、次第に大手アパレルメーカーのシューズなど、さまざまな商品に活用されるようになったDelitte。「生涯現役」を目指す呉本さんは、70歳になった今でも新しい挑戦を模索し続けています。

Delitteは組み合わせが無限なんです。だからこそ、いろいろな方にアイデアを持ってきてほしい。“こんなことはできないか“”こういうものがつくりたい“っていう要望は大歓迎です。僕は職人気質なので、課題が難しい方が燃える(笑)それをクリアすれば、技術が進歩していきますからね。

今までもそうやってやってきました。大概のことであれば、ご要望にお答えできるという自負はあります。1人でも多くDelitteのファンを増やし、そしてアイデアを提供いただけたらうれしいです」(呉本さん)

▼オーヨン株式会社

〒652-0884 神戸市兵庫区和田山通1丁目2番25号

お問い合わせはこちらまで。

 

詳しくはYouTubeを!第2弾もご期待ください

いかがでしたか?身近なものをそのまま型にできて、世界にひとつしかないオーダーメイドの加工ができるDelitte。YouTubeでは、実際に加工している現場をリポートしているほか、呉本さんのDelitteにかける思いを深掘りしています。気になる方は、ぜひご覧ください。 

TRINUSチャンネルでは、今後もユニークな技術やデザインなどを紹介していきます。今後もご期待ください!

 

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