
New japan! -漆工芸の新技術サスティーモ®
「漆」は英語で「japan」と呼ばれるのをご存じでしょうか。1万年以上もの歴史があると言われる日本を代表するマテリアルです。使えば使うほど艶が増す「生きた素材」とも言われる漆ですが、乾燥や熱等に弱いという扱いにくさもありました。(地独)東京都立産業技術研究センターとj's株式会社は共同でこの課題解決に取り組み、これら弱点を克服するまさに「New japan」とも言うべき新しい技術を生み出しました。2020年東京オリンピックを控えるいま、次世代の日本を代表するプロダクトを作りましょう。

- 募集開始 2015.07.04
- 募集終了 2015.10.31
- 結果発表 2016.01.31
扱いずらさを克服した本物の漆
ただその反面、直射日光(紫外線)/乾燥/熱に弱い、キズがつきやすいなどの理由で日常使いでの取り扱いが難しく、特に欧米などの湿度が低い地域に輸出をするのは難しいと言われています。さらに、漆を完全に乾燥、硬化させるためには長期間が必要のため、硬化が十分でない製品が売り場に並んでしまうと、かぶれをおこすことが心配されます。
そこで現在、「漆器」として国内外の市場で多く出回っているのが、プラスチックで作られた素地にウレタン塗装のように合成の塗料を塗った製品です。つまり、「漆」が一切使われておらず、漆本来の良さを持たない製品が日本の代表的な「漆器」のように取り扱われて、販売されることが多いのです。
(地独)東京都立産業技術研究センターは、プラスチック等の石油由来の原材料を一切使わず、間伐材の木粉と漆の樹液を混成した材料を使って素地を成形し、伝統技術である漆塗りを施した上で熱処理を行うという新しい技法を開発することで、その本来の良さを持つ本物の漆でありながら、湿気/乾燥/キズに強くかぶれをおこさない次世代の「漆」を実現しました。
サスティーモ®を活用した製品開発の流れ
漆の樹液と間伐材を混合・加熱することで、100%バイオマスの粉状成形材料サスティーモができます。
漆の樹液は、漆の木の樹皮を傷つけることで採取します。漆の木は樹液の採取後に伐採しますが、残った切り株から芽が出て、10年後にはまた漆が取れる木になります。
石油のようにいずれは枯渇する地下資源とは違って、漆の木は育て続ければ循環サイクルによって生産し続けることのできる天然の資源なのです。
会津若松を中心とした職人さんにお願いし、成形体表面に手作業による漆塗りや加飾を行い、最終工程で熱処理を行うことで、意匠性だけでなく、漆のかぶれの解消と表面硬度の向上が図れた製品が完成します。
加飾技法については様々な表現が可能ですが、下記のような技法が一般的です。
◇蒔絵:描いた漆が乾かないうちに金や銀などの金属粉を表面に蒔く技法
◇螺鈿:虹色光沢を持った貝殻の素材を表面にはめ込む技法
◇沈金:塗面に鋭利なノミで絵を彫り、そこに金箔や金粉などを入れる技法
◇漆絵:漆に様々な色の顔料を混ぜた色漆を使って絵を描く技法
※職人技法の必要性がなく、高い再現性が求められる場合は吹き付け塗装による漆塗りも可能です。
製造可能な製品のイメージ
また、形状についても上記のプレス加工によって可能な範囲で自由にご検討頂けます。過去の事例としては、コップやお皿等の器類、箸置きや、USBメモリの筐体まで試作の実績があります。
コストを踏まえた販売価格については形状や表面処理方法によって異なりますが、単色のシンプルな器で1万円程度、職人さんが非常に凝った絵付けをすると2~3万円程度となることを見込んでおりますので、高価格帯の製品を前提にご検討ください。
素地にも漆の樹液を使った新素材と、職人による本物の漆の手塗りによって作られる次世代の「漆製品」をあなたがデザインしてください。
募集内容
- サスティーモの良さが活用されているプロダクトデザイン
- 片手で持てるサイズの消費者向け雑貨・生活用品で、電気を使わないものとします(インテリア、キッチン、文具/デスク、ファッション雑貨品等)
※本サイトや全国の小売店を通じて販売するため、BtoBのビジネスアイデアは対象外と致します。
報酬
株式会社TRINUSが製品化・販売を行い、下記の報酬をお支払します。
- 製品開発が着手された段階で賞金5万円
- 販売されれば売上ロイヤリティ最大で3%(20年間)
※製品開発の対象となる作品の数に上限はなく、製品化が可能と判断されれば、いくつでも採用されます。
応募方法
- コンテンツは、すべて画像(JPG, PNGまたはGIF形式)で本サイト内で投稿してください。
- コンテンツは、企画書、アイデアプラン、アイデアスケッチ、レンダリングCG、図面、実際に制作した試作品を撮影した画像等、自由に組み合わせてご投稿頂けます。投稿は合計6ファイルを上限となっております。
審査方法
- 「Want it!」で高評価を獲得し、閲覧ユーザーから多くの支持を得ていること
- 応募要項に沿っており、メーカーにて製造可能なこと
- 複雑な構造になり過ぎず、現実的に販売可能な製品価格に収まるデザインであること
※注意事項については利用規約もご覧ください
コメント
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伝統的工芸 PD
金型を使用するに当たり先行投資が多く必要となりますが、今企画予算はどの程度でしょうか。予算によっては形状制約がかなりあると思います。
予算に合うアイデアを最後にもう一つ検討したいと思います。回答は金額でなくて専門の回答でいいです、差し支えなければよろしくお願い致します。
TRINUS
伝統的工芸 PD
プレス圧は何キロですか?何トンプレス機をしようしますか?プレス時間は何分ですか?
生産量に関してですが、椀サイズで何分おきに作れますか?材質的に金型に離型剤を塗ることが出来ないと思いますが複雑な形状でも壊れることがなく外れるのでしょうか?プレス時の温度は何度から何度の範囲でしょうか?
TRINUS
Q1.プレス圧について
A.製品の形状、成形材料に使用する植物繊維粉の種類や投入する材料の量により個々に変更します。写真掲載のお猪口については、約12Mpa~20Mpaで行っています。
TRINUS
A.弊社では、200tプレスを使用しています。
TRINUS
A.Q1と同様に個々の製品により、良品率や生産性などを考慮して設定を変えます。
TRINUS
A.Q3の回答のように、デザインや材質により変わります。同様のデザインでも、投入する成形材料により変わります。生産量が少ない場合は、金型を増やしたりプレス機のサイズを大きくして取り数を増やす等、様々なやり方で対応可能です。
TRINUS
A.漆が離型剤変わりなるように、成形材料製造の段階で漆の染み出し量を考慮して材料製造しています。エンボス加工などは、かなり細かい再現が可能です。むしろ、成形材料が粉末状なので、金型内での流動性が悪く細かな部分まで材料が回るかの方が問題になります。
TRINUS
A.120℃~170℃の間で調整しています。
reright_sec
例えば、長時間水に浸されても大丈夫なのでしょうか?
TRINUS
nonassan
TRINUS
ご質問内容を正確に理解できておりませんが、サスティーモの耐熱性に関しては、かける時間で温度が大きく変わります。瞬間的なら200℃近く迄耐えられます。
連続してかけられる温度は、110℃と考えてください。漆は耐熱性が高く断熱性も持ち合わせています。外からの熱をある程度遮断しますが、長時間の熱に晒された場合は全体の温度が上がります。その場合、断熱性がアダとなり、中心部の熱が逃げて行きません。ですから、外から110℃の熱を加え続けた時の中心部の温度は140℃以上になります。
SK
TRINUS
職人技法の必要がなく、高い再現性が求められる場合は吹き付けによる漆塗りも可能です。