
マグネシウム合金製のパイプ・棒を「変形」する技術
- 金属製品 締切 : 2015.01.18
- マグネシウムはその素材の特性から「潰したり」「曲げたり」する加工は難しいと言われてきましたが、株式会社マクルウではその定説に挑戦し、マグネシウム合金製のパイプ・棒材を自由な寸法に変形させる技術を確立しました。そこで、このマグネシウム合金パイプ・棒材を「変形」することにより制作するプロダクトのデザインを募集します。

パイプ加工業に長年従事、そしてマグネシウムとの出会い
このプロジェクトの目的はマグネシウム合金の塑性加工(材料に大きな力を加えて変形させることによって、目的とする形状に加工すること)を実現することにありました。マグネシウムはその特性から塑性加工が困難であり、鋳造法,特に大量生産の場合はダイカストと呼ばれる、金型に高温で溶かしたマグネシウムを流し入れることで生産する方式が一般的となっています。
それだけ難しいテーマであるということもあり、そうそうたるメンバーによって構成されるこのプロジェクトでしたが、結局、失敗に終わってしまいます。そしてこの取り組みからは一旦離れ、本業の経営に注力する日々を送っていましたが、2010年にご引退され、後進にこの会社の経営を譲った後、頭をよぎったのがあのマグネシウム合金のプロジェクトでした。
第二の人生の挑戦、そして不可能と言われた塑性加工の実現へ
この開発成功によって、ビジネスとして本格的にステージをあげることになり、息子さんの安倍信貴さんも脱サラをして同社に参画。現在に至ります。
制作可能な製品例
①既製品のマグネシウム合金の棒材・パイプを好みの太さや形に変形すること
②マグネシウム合金の棒材・パイプを曲げること
③マグネシウム合金の棒材・パイプを溶接すること
この3つの作業の組み合わせにより、同社で制作してみたプロダクトのサンプルをご紹介します。
【メーカー紹介】株式会社マクルウ / 静岡県富士宮市
所在地: 静岡県富士宮市
代 表: 代表取締役社長 安倍雅史
常務取締役 安倍信貴
従業員数: 3名
事業内容: マグネシウム合金加工、自社製品の製造販売、OEM生産
【ご参考】マグネシウムの特徴
皆様から頂いた質問に対するお答え
Q1:マグネシウムの板は曲げることが可能でしょうか?
A:板は曲げることも基本可能ですが、曲げ半径があまり小さいと難しくなってしまいます。
Q2:水周り製品への応用や塩、酸に対する耐性はいかがでしょうか?
A:耐食性が気になる用途の場合、一般的に表面処理を行います。例えばデジカメのボディやノートパソコンの筐体等でマグネシウム合金が採用されていますが、全て表面処理が施されています。 表面処理を施したマグネシウム合金の耐食性ですが、ダイカストの例で試験結果が報告されています。塩水噴霧試験で4000h、大気暴露で三年間のそれぞれにおいて、マグネシウム合金とアルミニウム合金を比較しほぼ同等だったということです。 前述のとおり既に相当量のマグネシウム合金の表面処理品は市場に出ているため、商品化の際は一般的な工程としてマグネシウム合金の表面処理の選択が可能であると思われます。
Q3:板材に切れ込みを入れ、曲げることは可能でしょうか?
A:はい、基本的に可能です。デザインによって「鋸で切る」「コンターマシンと呼ばれる機械で切断」「放電加工」「レーザー」といった方法を選択することになります。
Q4:φ16mmの丸棒と同等のパイプの直径とkg/mを教えてください。
A:◆φ16mmの丸棒と同等の曲げ応力のパイプ直径◆ パイプの板厚の設定によりますので、例えば下記が挙げられます。 φ18 X t2.4 φ20 X t1.7 φ22 X t1.3 ◆それぞれの単重(Kg/m)◆ φ16→0.36Kg φ18 X t2.4→0.21kg φ20 X t1.7→0.17Kg φ22 X t1.3→0.15Kg ※重量はAZ31ベースです。
Q5:Mg合金とステンレスの曲げ強さの比率を教えて下さい。
A:ヤング率で比較すると以下となります。 オーステナイト系ステンレス 200kN/mm2 マグネシウム合金 45kN/mm2 その他機械的性質の比較は以下です。 SUS304 引張り強さ 520N/mm2以上 耐力 205N/mm2以上 伸び 40%以上 AZ31 引張り強さ 250N/mm2(代表値) 耐力 165N/mm2以上(代表値) 伸び 16%以上(代表値) AZ61 引張り強さ 285N/mm2(代表値) 耐力 165N/mm2以上(代表値) 伸び 14%以上(代表値)
Q6:Mg合金でバネなども作られているようですが、弾性にも富む材料なのでしょうか?
A:バネの製作は、バネ性ではなくバネ形状実現の観点で試作しました。 試作した製品には一定のバネ性がありましたが、バネには絶対的な強度が不足しています。 今後、バネに適した合金開発が必要と考えます。
Q7:鍋やケトルなど直火にかける製品は製作可能でしょうか?
A:基本的には可能です。 まず、マグネシウムリボンのような箔や極細ワイヤーは検討対象から外す必要があります。その前提で、通常の条件であれば直火で燃えることはない思います。 そのうえで、安心感をもつためにはなるべく肉厚にする必要があります。更に、合金の成分により難燃性マグネシウム合金が開発されていますので、その合金を使うと更に安心感が増します。 更なるオプションとしては耐熱性コーティングという選択肢もあります。 過去には、海外ですがマグネシウム合金製焼肉網が開発された例もあったと聞いております。強力なニーズであれば、それを克服するための選択肢はいくつか検討が可能です。
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下記の募集要項やマグネシウムの特性を考慮頂き、世界に発信するプロダクトデザインを是非お待ちしております。
<募集内容>
◇マグネシウム合金棒(直径0.8mm~40mm)、マグネシウム合金パイプ(直径2mm~40mm)を活用したデザイン
◇パイプ断面の形状は、「円」「四角」「六角形」等、左右及び上下が対照であれば加工が可能
◇外部業者と連携することで、マグネシウム合金製板も利用可能 ◇他の素材との組み合わせも可だが、あくまでマグネシウム合金棒・パイプ素材がメインであること
◇「曲げ」「溶接」の加工箇所が増えるのに応じ加工コストが上昇するため、あまり複雑になり過ぎないもの
◇表面仕上げはマグネシウムの素材感を活すことも、塗装をすることも可能
◇製品は片手で持てる程度の雑貨・生活用品で、電気を使わないものとします(インテリア、キッチン、文具/デスク、バス/トイレ/洗面、掃除/洗濯、ガーデニング/アウトドア、ペット用品等)
<報酬>
◇製品開発が着手された段階で賞金5万円
◇実際に販売されたら売上ロイヤリティ3%(10年間)
※製品開発の対象となる作品の数に上限はなく、製品化が可能と判断されれば、いくつでも採用されます。
<応募方法>
◇コンテンツは、すべて画像(JPG, PNGまたはGIF形式)で本サイト内で投稿してください。
◇コンテンツは、企画書、アイデアプラン、アイデアスケッチ、レンダリングCG、図面、実際に制作した試作品を撮影した画像等、自由に組み合わせてご投稿頂けます。投稿は合計6ファイルを上限となっております。
<審査方法>
◇「Want it!」ポイントを多く獲得し、閲覧ユーザーから多くの支持を得ていること
◇応募要項に沿っており、メーカーにて製造可能なこと
◇複雑な構造になり過ぎず、現実的に販売可能な製品価格に収まるデザインであること
※注意事項については利用規約もご覧ください
まず、マグネシウムリボンのような箔や極細ワイヤーは検討対象から外す必要があります。
その前提で、通常の条件であれば直火で燃えることはない思います。
そのうえで、安心感をもつためにはなるべく肉厚にする必要があります。
更に、合金の成分により難燃性マグネシウム合金が開発されていますので、
その合金を使うと更に安心感が増します。
更なるオプションとしては耐熱性コーティングという選択肢もあります。
過去には、海外ですがマグネシウム合金製焼肉網が開発された例もあったと聞いております。
強力なニーズであれば、それを克服するための選択肢はいくつか検討が可能です。
企画自体はとても良いですが、同時公開でないとトラブルになりそうです。
アイディアの募集ならば、投稿順で優先されるべきだと思います。デザインがいいからと後から投稿したものがポイントを上回って採用になったならば、先にアイディアを出した人が報われません。アイディアを守る為のルールを作って頂きたいです。
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1. φ16mmの丸棒と同等の曲げ応力のパイプ直径
パイプの板厚の設定によりますので、例えば以下が挙げられます。
φ18 X t2.4
φ20 X t1.7
φ22 X t1.3
2. それぞれの単重(Kg/m)
φ16→0.36Kg
φ18 X t2.4→0.21kg
φ20 X t1.7→0.17Kg
φ22 X t1.3→0.15Kg
※重量はAZ31ベースです。
3. Mg合金とステンレスの曲げ強さの比率
ヤング率で比較すると以下となります。
オーステナイト系ステンレス 200kN/mm2
マグネシウム合金 45kN/mm2
その他機械的性質の比較は以下です。
SUS304 引張り強さ 520N/mm2以上
耐力 205N/mm2以上
伸び 40%以上
AZ31 引張り強さ 250N/mm2(代表値)
耐力 165N/mm2以上(代表値)
伸び 16%以上(代表値)
AZ61 引張り強さ 285N/mm2(代表値)
耐力 165N/mm2以上(代表値)
伸び 14%以上(代表値)
4. バネの製作は、バネ性ではなくバネ形状実現の観点で試作しました。
試作した製品には一定のバネ性がありましたが、バネには絶対的な強度が不足しています。
今後、バネに適した合金開発が必要と考えます。